日系人の受入れ制度の中でも、これまで制限が厳しく、将来が見えにくかった「日系4世」について、
令和5年(2023年)12月から制度が大きく見直されました。

今回の改正は単なる要件緩和ではなく、
「特定活動で5年 → 一定要件を満たせば定住者へ」
という、明確なキャリアパスを示した点が最大のポイントです。

この記事では、

日系4世の特定活動制度の基本

令和5年12月の告示改正の内容

定住者への在留資格変更に関する運用変更
を、行政書士実務の視点で整理します。

1.日系4世は「定住者」ではなく特定活動からスタートする

日系2世・3世は、定住者告示(3号・4号など)に基づき、
原則として「定住者」の在留資格が認められます。

一方、日系4世については、血縁関係がさらに遠くなるため、
これまで一律に定住者とはされず、
「特定活動(告示)」という別枠で受け入れられてきました。

この特定活動は、

日本で就労しながら生活経験を積む

日本語・日本文化への理解を深める

ことを目的とした、期間限定・条件付きの在留資格です。

2.改正前の日系4世制度の課題

改正前の制度には、実務上大きな課題がありました。

❌ 在留はできるが「その先」が見えない

特定活動(4世)は、最長通算5年まで在留可能でしたが、
5年経過後は原則として帰国が前提でした。

❌ 家族帯同が原則不可

長期在留を前提とした生活設計が立てにくく、
日本への定着が難しい制度設計でした。

❌ 定住者への変更が不透明

運用上、定住者変更が議論されることはあっても、
明確な制度上の位置付けがありませんでした。

3.令和5年12月 特定活動告示改正の概要

こうした課題を踏まえ、
令和5年12月に日系4世の受入要件に関する特定活動告示が改正されました。

改正前:

18歳以上30歳以下

改正後:

18歳以上35歳以下(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる能力を有していることを試験により証明された者)➡日本語能力試験N3相当以上、J.TEST実用日本語検定のD-Eレベル試験500点以上又は日本語NAT-TESTの3級以上

より現実的な年齢層まで対象が広がり、
就労・定着を前提とした受入れが強化されています。

今回の改正の最大の特徴は、
日本語能力が「定住者変更の鍵」として明確に位置付けられた点です。

特に、

日本語能力試験 N2相当レベル

が、5年後に定住者へ変更するための重要な評価要素とされています。

これは単なる語学力ではなく、
👉 日本社会で自立して生活できるか
👉 長期定着が可能か
を判断する基準として使われます。

日系4世受入サポーター要件

改正前の制度では、日系4世が本制度を利用して入国・在留するにあたっては、その支援を行う日系4世受入サポーターによる支援を受けることができる環境の下にあることが必須であったところ、日系4世が本制度の目的に則った活動を適切に行って、本邦に在留している期間が3年を超えた場合には、それ以降は、日系4世受入サポーターによる支援を受けることができる環境の下にあることを必須にしないこととしました。

4.定住者への在留資格変更に関する運用変更


✔︎ 5年間の特定活動在留後、定住者へ

改正後の制度では、

  1. 特定活動告示43号の日系4世受入制度を使って日本文化等を習得する活動を適切に通算5年間行ったこと
  2. 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができることを試験により証明されていること(日本語能力試験N2以上又はBJTビジネス日本語能力テスト400点以上)
  3. 素行が善良であること
  4. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  5. 公的義務(納税や入管法に定める届出の義務)を適正に履行していること

という全ての条件を満たす場合、
「定住者(告示外定住)」への在留資格変更が可能となる運用が明確化されました。

👉「定住者とは?取得できる人・できない人を実務目線で解説」

👉定住者告示各号の要点解説

これは、日系4世制度を

一時的な就労制度
から
日本社会に定着する外国人の受入制度

へと位置付け直したものといえます。

5.実務上チェックすべきポイント


(1)血縁関係の立証は依然として重要

4世であっても、

祖父母・曾祖父母まで遡る親族関係

戸籍・出生証明書等の整合性

は厳格に確認されます。

(2)「5年間どう過ごすか」の計画性

単に働くだけでなく、

日本語学習の計画

安定した就労状況

生活基盤(住居・収入)

を、将来の定住者変更を見据えて整えることが重要です。

(3)人道ではなく「定着性」が評価軸

日系4世は人道配慮型ではなく、
あくまで将来の定住可能性が審査の中心になります。

6.定住者制度との関係整理

区分日系2世・3世日系4世
初期在留資格定住者特定活動
在留の性質身分系活動系
原則更新可条件付きで定住者へ

この違いを理解せずに申請戦略を立てると、
後々の変更申請でつまずく原因になります。

7.まとめ

令和5年12月に開始された日系4世制度の改正は、
単なる受入要件の緩和ではありません。

「5年間の特定活動 → 定住者への道筋」
を制度として明確化した、非常に大きな転換です。

今後、日系4世案件では、

初回申請の段階から,将来の定住者変更を前提に日本語能力・生活基盤をどう積み上げるか

を意識した設計が不可欠になります。

👉 日系4世は「一時滞在」ではなく、
戦略的に育てる在留資格へと変わりました。

在留資格の手続きは、状況によって必要な対応が大きく変わります。
「自分の場合はどうなるのか」と迷ったときは、専門家に確認することが大切です。

入管業務に関するご相談は、ホームページのお問い合わせフォームから受け付けています

清水純樹国際行政書士事務所