前回は、育成就労制度で「どのような仕事ができるのか」について、「業務区分」「関連業務」「必須業務」という3つのポイントから整理しました。

今回は、もう一つ重要なポイントである**「育成就労は何年間働くことができるのか」**について解説します。

育成就労制度を理解するうえでは、

3年間の育成就労 → 特定技能1号

という流れを押さえておくことが重要です。

1.育成就労の期間は原則3年間

育成就労制度は、日本で原則3年間就労しながら人材を育成し、最終的に特定技能1号水準の技能を身につけてもらう制度です。

出入国在留管理庁も、育成就労制度について「我が国での3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成し、人材を確保する制度」と説明しています。

ここが、従来の技能実習制度との大きな違いの一つです。

技能実習制度では、

技能実習1号……1年以内
技能実習2号……2年以内
技能実習3号……2年以内

という段階的な仕組みになっており、合計で最長5年間の在留が可能でした。

一方、育成就労制度では、このような**「1号→2号→3号」という段階的な区分はありません。**

最初から原則3年間の育成計画を立て、その3年間を通じて特定技能1号水準の技能を身につけることを目指します。

つまり、

技能実習制度
1号 → 2号 → 3号

から、

育成就労制度
3年間の育成 → 特定技能1号

という、よりシンプルな流れに変わることになります。

2.3年間のゴールは「特定技能1号」

では、なぜ3年間なのでしょうか。

その理由は、育成就労制度が単に「3年間働いてもらう制度」ではなく、3年間の就労を通じて特定技能1号水準まで技能を育成することを目的としているからです。

育成就労制度では、技能だけではなく、日本語能力についても段階的に向上させていきます。

そして、育成就労を終える段階では、

  • 特定技能1号水準の技能
  • 必要な日本語能力

を身につけていることが求められます。

そのため、制度全体としては、

  • 育成就労=人材育成の期間
  • 特定技能1号=育成後の就労

という位置付けになっています。

出入国在留管理庁の制度イメージでは、「育成就労(3年間)」から「特定技能1号(通算5年)」、さらに要件を満たせば「特定技能2号」へというキャリアが示されています。

3.3年後、特定技能1号へ移行するには?

育成就労を3年間行ったからといって、自動的に特定技能1号へ移行できるわけではありません。

特定技能1号へ移行するためには、育成就労の終了時点で、必要な技能・日本語能力に関する試験等をクリアする必要があります。

育成就労では、1年目の終了時までに、技能・日本語能力について一定の水準に到達することが求められます。また、育成就労の終了時には、特定技能1号への移行を見据えた技能・日本語能力の水準が求められます。

技能については、1年目までに技能検定基礎級等の試験を受験し、育成就労終了時には、技能検定3級や特定技能1号評価試験など、分野別運用方針で定められた試験への合格が求められます。

日本語能力については、基本的に1年以内にA1相当、育成就労終了時までにA2相当の水準を求める仕組みとなっています。ただし、分野によっては、より高い日本語能力が求められる場合があります。

したがって、イメージとしては、

入国・就労開始
↓
1年間の育成・評価
↓
2年間のさらなる技能・日本語能力の向上
↓
3年目に特定技能1号水準を確認
↓
特定技能1号へ

という流れになります。

4.もし3年後の試験に不合格だったら?

ここが、育成就労制度を理解するうえで非常に重要なポイントです。

では、3年間育成就労をしたものの、特定技能1号への移行に必要な試験に不合格だった場合はどうなるのでしょうか。

3年間が終了した時点で、特定技能1号への移行に必要な試験に不合格だった場合、一定の要件の下で、最長1年間、在留を継続できる仕組みが設けられています。

これは、単純に「もう1年間育成就労を続けられる」という意味ではありません。

あくまで、
特定技能1号への移行に必要な試験を再受験するための期間
という位置付けです。

そのため、イメージとしては、

3年間の育成就労
↓
試験不合格
↓
一定の要件の下、再受験に必要な範囲で延長(最長1年間)
↓
再受験
↓
特定技能1号への移行

という流れになります。

5.技能実習制度との違い

ここまでを技能実習制度と比較すると、違いがより明確になります。

技能実習制度育成就労制度
基本的な期間最長5年原則3年
段階1号→2号→3号段階区分なし
制度のゴール技能等の修得・国際貢献特定技能1号水準の人材育成・確保
特定技能との関係現行制度では、技能実習2号を良好に修了した場合、一定の要件の下で特定技能1号への移行に必要な技能・日本語能力試験が免除されます。必要な技能・日本語能力の試験等をクリアして移行
3年終了時に試験不合格―一定の要件の下、最長1年間の延長が可能

現行の技能実習制度では、技能実習2号を良好に修了した場合、一定の要件の下で、特定技能1号への移行に必要な技能・日本語能力試験が免除される仕組みがあります。

一方、育成就労制度では、3年間の育成を通じて特定技能1号水準に到達していることを試験等によって確認するという考え方になっています。

6.育成就労制度は「3年間働いて終わり」ではない

ここが今回の記事で一番伝えたいポイントです。

育成就労制度は、

「外国人に3年間働いてもらう制度」

というだけではありません。

むしろ制度の中心にあるのは、

「3年間の就労を通じて、特定技能1号として働ける人材を育成する」

という考え方です。

そのため、

育成就労

 ↓
技能・日本語能力を身につける

 ↓
特定技能1号水準に到達

 ↓
特定技能1号へ

という一連のキャリアを想定した制度になっています。

そして、3年で必要な水準に到達できなかった場合にも、一定の要件の下で最長1年間の延長という仕組みが用意されています。

まとめ

育成就労制度の「期間」を理解するポイントは、次の3つです。

① 原則3年間

育成就労は、3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を育成する制度です。

② 3年後は、要件を満たせば特定技能1号への移行を目指す

必要な技能・日本語能力の試験等をクリアすることで、特定技能1号への移行を目指します。

③ 試験に不合格の場合、一定の要件の下で最長1年間の延長が可能

3年終了時に必要な試験に不合格の場合、一定の要件の下で、特定技能1号への移行に必要な試験を再受験するため、最長1年間の在留継続が可能です。

つまり、

「3年間の育成」→「特定技能1号」

という流れを理解することが、育成就労制度を理解するうえで非常に重要です。

次回は「3年間でどうやって技能を身につけるのか?」

次回は、育成就労制度の中でも特に重要な、

「主たる技能」
「必須業務」
「技能評価」

について解説します。

単に3年間働くのではなく、どのような技能を、どのような業務を通じて身につけ、どのように評価するのか。

ここを理解すると、育成就労制度の仕組みがさらに見えてきます。

※本記事は制度の概要を説明するものです。実際の対象分野・業務区分や試験要件等については、分野別運用方針・運用要領等の最新情報をご確認ください。育成就労制度は2027年4月1日に施行予定です。

参考: 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」 / 出入国在留管理庁「育成就労制度」

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