資格外活動許可というと「週28時間以内」という時間制限ばかりが注目されがちですが、
実務上それ以上に重要なのが、活動の性質です。
外国人の資格外活動を考える際、実務で特に判断が難しいのが次の3つです。
- 収入を伴う事業を運営する活動
- 報酬を受ける活動
- 臨時の報酬等
これらは似ているようで、入管実務上は明確に区別されています。
以下、順に整理して解説します。
資格外活動の対象となるのは、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動ですが、臨時の報酬等は、この報酬には含まれません。
資格外活動許可の時間制限や包括許可・個別許可の違いについては、
👉【資格外活動許可(週28時間)の詳しい解説】をご覧ください。
家族滞在の在留資格では、
資格外活動の範囲や考え方が特に重要になります。
👉【家族滞在とは?取得要件・できること・できないこと】
① 収入を伴う事業を運営する活動とは?
「収入を伴う事業を運営する活動」とは、収入(金品等の授受)を伴う事業(一定の目的をもって同種行為を反復継続的に行う活動)を運営する活動をいい、その事業運営によって実際に収入を得ることまでは必要ありません。収入を得れば、報酬を受ける活動に該当する場合があります。
なお、事業の運営は日本国内で行われるものに限られますが、個人事業主か法人事業か、公益目的か営利目的かはといません。学校の運営、教団の設立運営等営利目的でないものも含まれます。
ただし、日本国外での業務を主たる活動としている者が、特別の事情のため日本国内で従たる活動に短期間従事する場合(例えば、外国にある親会社の取締役が日本にある子会社の無報酬の代表取締役を兼ねており、通常は親会社で勤務しているものの、大きな商談の締結のため来日して短期間滞在する場合など)については、収入を伴う事業を運営する活動に該当しません。
収入を伴う事業を経営する場合や事業の管理に従事する場合、資格外活動の包括許可を受ければいいの?個別許可なの?
収入を伴う事業の経営を行う活動については、事業をめぐる状況に応じて随時必要な経営判断を行うことが求められますので、客観的に就労時間を確定することが困難であり、資格外活動の包括許可にはなじみません。ただし、個人事業主(配達等の依頼を受注し、成果に応じた報酬を得る活動等)、として活動する場合で、雇用契約書等により従事する時間が明確なときや、アプリのログ、管理会社等への照会によって稼働時間を客観的に確認することができるときは、包括許可の対象となります。
いずれにしても、資格外活動の許可ですので、事業の運営に従事することにより、主たる活動の遂行が阻害されないことが前提になります。
事業の管理を行う場合、管理者として従事する時間が雇用契約書等により明確になっているときは、資格外活動の包括許可を受けることができますが、状況に応じて随時業務を行う必要があるなど客観的に就労時間を確定することが困難なときは、事業の経営を行う場合と同様、個別許可によることになります。
② 報酬を受ける活動とは?
報酬とは一定の役務の提供の対価として与えられる反対給付をいい、実費弁償の性格を有するもの(通勤手当、住宅手当等)は、課税対象となる場合を除いて含みません。
「報酬を受ける活動」とは、役務の提供が日本国内で行われ、その対価として給付を受けるものをいい、その対価を支給する機関の所在地や支給場所は日本の国内外を問いません。ただし、日本国外で行われる主たる業務に関連する従たる業務を短期間日本国内で行う場合(例えば、外国の会社が日本に輸出販売した機械の設置、メンテナンスなどのアフターサービスを行うためにその会社の技術者が短期間来日する場合など)で、外国の会社がその対価を支払うときは、報酬を受ける活動に該当しません。
収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける活動に該当しない活動のため日本に短期間滞在する場合は、短期滞在の在留資格で入国、在留することができますが、1回の滞在期間は短くても、来日を繰り返し、中長期的に見れば日本に滞在する期間が相当程度になるときは、短期間の滞在になりません。
動画サイトやSNSにおける活動により収入を得る場合、資格外活動の許可はどうなるの?
動画を作成し、動画投稿サイトやSNSに投稿して収入を得る活動は、作成した動画を投稿サイトやSNSを通じてインターネットで配信することにより、閲覧に応じた広告収入を得るものですので、動画の作成等という役務の提供に対する対価を得るものということはできず、報酬を受ける活動に該当しません。また、収入を伴う事業を運営する活動というためには、その活動が事業(一定の目的をもって同種行為を反復継続的に行う活動)といえる程度の反復継続性が必要ですので、それが認められる場合には収入を伴う事業を運営する活動に該当して資格外活動許可が必要になります。それが認められない場合には収入を伴う事業を運営する活動にも該当しませんので、資格外活動許可は必要ありません。
③ 臨時の報酬等とは?
臨時の報酬等(業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の法務省令で定めるもの)は、報酬を受ける活動として資格外活動の対象となる報酬には含めないものとされています(入管法19条の1項)
報酬とは、一定の役務の提供の対価として与えられる反対給付ですので、例えば友人に頼まれて子守をしたり、テレビのクイズ番組に出演したりする活動についても謝礼等をもらえば報酬を受ける活動になりますが、このような活動は、業として(反復継続して又は反復継続する意図をもって)行わなければ、外国人の日常生活の範囲内といえるものですので、資格外活動の規制対象から除かれています。ただし、不法残留等により、適法な活動資格を失えば、臨時の報酬等を受ける活動も不法就労活動になります。
臨時の報酬等は、法務省令で次のとおり定められています(施行規則19条の3)。なお、①、②は業として行うものが除かれていますので、反復継続して又は反復継続する意思をもってこれらの活動を行えば、臨時の報酬等にはなりません。
① 業として行うものではない次に掲げる活動に対する謝金、賞金その他の報酬
イ 講演、講義、討論その他これらに類似する活動
ロ 助言、鑑定その他これらに類似する活動
ハ 小説、論文、絵画、写真、プログラムその他の著作物の制作
ニ 催物への参加、映画又は放送番組への出演その他これらに類似する活動
② 親族、友人又は知人の依頼を受けてその者の日常の家事に従事すること(業として従事するものを除く。)に対する謝金その他の報酬
③ 留学の在留資格をもって在留する者で大学又は高等専門学校(第4学年、第5学年及び専攻科に限ります。)において教育を受けるもの(専ら日本語教育(日本語に通じない外国人が我が国において生活するために必要な日本語を理解し、使用する能力を習得させるための教育(日本語教育機関認定法1条)をいいます。以下同じ。)を受けるものを除きます。)が当該大学又は高等専門学校との契約に基づいて行う教育又は研究の補助する活動に対する報酬
まとめ
資格外活動に該当するかどうかは、
収入があるかどうかだけで判断されるものではありません。
ポイントは、次の3点です。
- 反復継続して行っているか(事業性があるか)
- 日本国内で役務の提供をしているか
- 主たる在留資格の活動を妨げていないか
整理するとこうなります
収入を伴う事業を運営する活動
→ 反復継続性があれば、収入が出ていなくても該当
→ 原則、資格外活動許可が必要
報酬を受ける活動
→ 日本国内での役務提供の対価を受け取る活動
→ 原則、資格外活動許可が必要
臨時の報酬等
→ 単発・日常生活の範囲内であれば規制対象外
→ 反復継続すれば資格外活動に該当
YouTube・SNSの広告収入
→ 原則「報酬を受ける活動」には該当しない
→ ただし、事業と評価される場合は資格外活動許可が必要
資格外活動に該当するかどうかは、「報酬か否か」だけでなく、
事業性・反復継続性・活動の実態を踏まえて判断されます。
特に動画配信やSNS収益については、形式ではなく実質で判断されるため、
個別具体的な検討が不可欠です。
「少額だから大丈夫」
「副業感覚だから問題ない」
これは入管実務では通用しません。
金額の大小ではなく、活動の実態が判断基準になります。
判断に迷った時点で、一度立ち止まることが重要です。
資格外活動は、後から修正がきかず、
在留資格の更新・変更に大きな影響を及ぼす分野だからです。
在留資格の手続きは、状況によって必要な対応が大きく変わります。
「自分の場合はどうなるのか」と迷ったときは、専門家に確認することが大切です。
入管業務に関するご相談は、ホームページのお問い合わせフォームから受け付けています。