近年、留学生の資格外活動(アルバイト)を巡る問題として、
「週28時間超過」「複数アルバイトの掛け持ち」「不法就労」などが大きな課題となっています。
これを受け、出入国在留管理庁は、在留資格「留学」の運用を厳格化し、日本語教育機関に対する管理・確認義務を大幅に強化しました。
今回は、令和8年4月・7月以降に開始される新運用について、実務上重要なポイントを整理して解説します。
1.今回の適正化の背景
出入国在留管理庁は、
- 複数のアルバイトを掛け持ちする留学生
- 資格外活動時間を超過するケース
- 留学実態より「就労目的」が強いケース
を問題視しています。
そこで、
- 日本語教育機関と入管との連携強化
- 日本語能力確認の厳格化
- 資格外活動の実態把握
を中心とした制度改正が行われました。
2.日本語教育機関に求められる新たな義務
令和8年4月から、日本語教育機関には、
留学生の資格外活動について定期確認が求められます。
確認対象は以下の4点です。
- 資格外活動許可の有無
- 活動先(勤務先)
- 活動内容
- 活動時間
つまり、
「アルバイトしていますか?」
だけでは足りません。
学校側は、
- どこで
- 何を
- どのくらい
- 週何時間
働いているかまで把握する必要があります。
特に問題視されているのが「掛け持ち」です。
例えば、
- コンビニ
- 飲食店
- 倉庫
- Uber系
などを複数掛け持ちしているケースでは、
合計時間が週28時間を超えやすくなります。
そのため、入管は、
「複数ワークの学生は特に慎重確認を行うこと」
と明示しています。
学校が指導しても改善されない場合や、
- 週28時間超過
- 不法就労疑い
- 雇用主による長時間労働強要
などがある場合には、
最寄りの出入国在留管理局への報告が求められます。
さらに、その内容は今後の在留審査にも反映される可能性があります。
3.日本語能力確認の厳格化
これまでは、
- 日本語試験
- 150時間以上の日本語学習歴
のいずれかで、日本語能力を認める運用が比較的広く行われていました。
令和8年7月以降は、
原則として
日本語試験の証明
または
日本語教育機関による面接確認(オンライン可)
が必要となります。
単なる「150時間以上学習歴」だけでは足りなくなる方向です。
4.面接確認の実務ポイント
入管Q&Aでは、
「どのようにA1相当以上と判断したのか」
を具体的に記載する必要があるとされています。
つまり、
「会話できた」
「問題なかった」
だけでは不十分です。
求められる記載例
例えば、
- 自己紹介ができる
- 簡単な質疑応答が可能
- 日常生活に関する受け答えができる
- 基本語彙を理解している
など、具体的評価が必要になります。
客観性も重要
入管は、
A1レベル相当の問題を10問程度出題する
などの方法も例示しています。
つまり、
「なんとなく話せた」
ではなく、
- 一定基準
- 一定手順
- 記録化
が必要になるということです。
5.各種確認書類の作成主体に注意
Q&Aでは、
「所属機関作成」の確認書は、受入教育機関自身が作成する必要がある
とされています。
つまり、
- 海外送出機関
- 仲介業者
- 行政書士
などが主体的に作成することは想定されていません。
学校自身が確認責任を負うということです。
6.「書類確認」欄は空欄にしない
チェックシートの「書類確認」欄についても、
日本語試験や面接だけでなく、可能な限り多面的に確認してほしい
という考え方が示されています。
したがって、
- パスポート
- 学習履歴
- 成績
- 出席状況
- 面接記録
など、確認した資料は幅広く記載しておく方が安全です。
7.資格外活動時間の管理方法
実務上かなり重要なのがここです。
Q&Aでは、
「日々の資格外活動時間を把握すること」
が求められています。
つまり、
- 月単位
- ざっくり自己申告
だけでは不十分になり得ます。
なぜ「日々管理」が必要なのか
資格外活動は、
「週28時間以内」
という規制だからです。
例えば、
月112時間以内
であっても、
ある週だけ35時間働いていれば違反となります。
そのため、
- 曜日単位
- 週単位
で管理できる体制が必要になります。
※ 資格外活動許可における「収入を伴う事業を運営する活動」「報酬を受ける活動」「臨時の報酬等」の違いを行政書士が解説
※ 資格外活動許可とは?週28時間ルールを行政書士が実務目線で徹底解説
8.自己申告だけでよいのか?
Q&Aでは、
学生の自己申告でも差し支えない
とはされています。
ただし同時に、
入管から説明を求められた場合、管理方法を具体的に説明できる必要がある
ともされています。
つまり、
単なる口頭確認だけでは危険です。
実務上おすすめの対応
実務では、
- アルバイト申告書
- シフト提出
- 給与明細確認
- 勤務先一覧管理
- 月次チェックシート
などを組み合わせるのが安全です。
9.日本語教育機関への影響
今回の適正化によって、日本語学校には、
- 入学審査
- 日本語能力確認
- アルバイト管理
- 記録保存
- 入管対応
など、実質的にかなり重い管理責任が課されることになります。
特に、
- 多国籍化
- オンライン面接
- 複数アルバイト
- 地方での人手不足
などの事情を抱える学校では、実務負担が大きくなるでしょう。
まとめ
今回の「留学」適正化は、単なる形式変更ではありません。
実質的には、
- 日本語学校
- 留学生
- 雇用主
すべてに対して、
「留学制度を就労目的化させない」
という強いメッセージが込められています。
今後は、
- 日本語能力の客観的確認
- 資格外活動の継続管理
- 記録化・説明可能性
が非常に重要になります。
在留資格の手続きは、状況によって必要な対応が大きく変わります。
「自分の場合はどうなるのか」と迷ったときは、専門家に確認することが大切です。
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