外国人材を派遣労働者として受け入れたい
この相談は年々増えています。
結論から言えば、派遣形態そのものが直ちに違法というわけではありません。
しかし最も重要なのは、
在留資格と実際の業務内容が適合しているかどうか です。
制度を正しく理解していないと、
派遣元・派遣先双方に重大な法的リスクが生じます。
1.派遣就労は制度上想定されている
在留資格認定証明書交付申請の必要書類には、次のような記載があります。
「派遣契約に基づいて就労する場合(申請人が被派遣者の場合)
申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料
(労働条件通知書(雇用契約書等)等)」
これは、一定の在留資格において
派遣形態での就労が制度上想定されていることを意味します。
例えば、
技術・人文知識・国際業務
研究
介護
技能
などが代表例です。
2.在留資格は「実際に行う活動」で決まる
外国人の在留資格は、
日本で実際に行う活動内容 によって決まります。
したがって、派遣労働者として受け入れる場合、
▶ 派遣先で行う業務が
▶ その在留資格に該当する活動でなければなりません。
これに違反した場合、
派遣元・派遣先ともに
不法就労助長罪 に問われる可能性があります
(出入国管理及び難民認定法第73条の2)。
3.派遣形態と在留資格の「継続性」
在留資格に基づく活動は、
継続して行われること が前提です。
そのため実務上は、
▶ 常用型派遣(常用雇用型派遣)
(派遣先の有無にかかわらず派遣元と雇用契約が継続している形態)
が望ましいと整理されています。
もっとも、
✔ 派遣先が特定されており
✔ 在留期間中、資格該当活動を行うことが見込まれる
場合には、登録型派遣でも直ちに否定されるわけではありません。
📌 2026年2月24日改正
(令和8年3月9日申請分〜)
「技術・人文知識・国際業務」資格による派遣就労について、
入管庁は新たな運用ルールを明示しました。
これは、これまで曖昧だった
派遣先企業の責任と役割を明確化する改正 です。
派遣申請時に
派遣先企業が確定していることが必須 となりました。
在留資格は「実際の活動内容」で審査されるため、
派遣先未定では申請ができません。
在留期間は、
派遣契約期間を基準に判断 されます。
短期契約の場合、在留期間もそれに応じて設定される可能性があります。
派遣先企業は、
活動内容を理解し
在留資格に適合する業務に従事させること
を誓約する必要があります。
※ 在留資格「技術・人文知識・国際業務」をもって派遣形態で就労する場合の取扱いについて(令 和 8 年 2 月
出入国在留管理庁)
これにより、
「派遣会社が雇っているから関係ない」
という説明は通りにくくなりました。
派遣先の責任は、これまで以上に重くなっています。
4.特定技能の場合はどうか?
特定技能は、
原則として 直接雇用 が前提の在留資格です。
そして極めて重要なのは次の点です。
特定産業分野16分野のうち、
派遣形態での受入れが認められているのは
農業
漁業
のみです。
これは、季節性・繁忙期対応という
産業特性を踏まえた例外的な取扱いです。
介護、建設、外食業、宿泊、製造業分野など、
その他の14分野では
▶ 派遣労働者として受け入れることはできません。
必ず 直接雇用 が必要です。
派遣契約で受け入れた場合、
在留資格不適合
不法就労助長罪のリスク
受入れ停止等の行政措置
といった重大な問題につながります。
5.実務上のチェックポイント
外国人を派遣で受け入れる場合、少なくとも次を確認すべきです。
✔ 派遣先業務は在留資格に該当するか
✔ 派遣先は確定しているか(2026年改正対応)
✔ 派遣契約期間と在留期間の整合性は取れているか
✔ 特定技能の場合、分野は何か
✔ 派遣が制度上認められている分野か
まとめ
外国人を派遣労働者として受け入れることは可能です。
しかし、
在留資格は「実際の活動」で判断される
派遣先業務が資格に適合しなければならない
派遣元・派遣先双方に不法就労助長リスクがある
2026年改正で派遣先の責任が明確化された
特定技能は原則直接雇用
派遣が可能なのは「農業」「漁業」のみ
という重要なポイントを押さえる必要があります。
派遣という「雇用形態」ではなく、
派遣先で何をするのか がすべての出発点です。
制度理解を誤れば、
企業経営に直結する重大リスクになりかねません。
在留資格の手続きは、状況によって必要な対応が大きく変わります。
「自分の場合はどうなるのか」と迷ったときは、専門家に確認することが大切です。
入管業務に関するご相談は、ホームページのお問い合わせフォームから受け付けています。