① 故意の税金・社会保険料未納(2024年改正)
改正法により、
故意に公租公課(税金・年金・健康保険料等)を支払わない場合
が明確に取消事由に追加されました。
単なる支払い忘れでは直ちに取消しにはなりません
病気・失業などやむを得ない事情は考慮されます
督促を無視し続ける場合は高リスク
判断は「故意性・悪質性・是正状況」の総合判断です。
永住許可制度の適正化は、在留状況が良好とは評価できない永住者に対し、法務大臣が適切な在留管理を行うことを目的とするものであって、滞納処分による差押え等により公租公課の徴収という目的が達成されたとしても、それにより、必ずしも在留資格の取消しなどの対象とならないというものではありません。
しかし、仮に取消事由に該当したとしても、実際に取消しなどするかどうかについては、適切な在留管理を行うという観点から判断するものであり、個別の事案における公租公課の未納額、未納期間のほか、支払に応じたか否かなどの関係機関の措置への永住者の対応状況等も踏まえて判断することになり、事後的に公租公課の不払状況が解消されたかどうかについても考慮されます。
※ 永住権についてはこちら
② 再入国許可・みなし再入国の期限切れ
永住者でも、期限を超えて帰国しなければ在留資格は失効します。
みなし再入国:1年以内
再入国許可:最長5年
実務上、最も多い失効パターンの一つです。
③ 住所変更未届・在留カード管理義務違反
引越し後14日以内の届出義務
90日以上未届で取消事由
在留カードは7年ごと更新
形式的違反のみで即取消しという運用ではありませんが、放置は危険です。
この法律に規定する義務を遵守せず」とは、入管法が規定する永住者が遵守すべき義務で、退去強制事由として規定されている義務ではないが、義務の遵守が罰則により担保されているものについて、正当な理由なく履行しないことをいいます。
永住許可制度の適正化は、適正な出入国在留管理の観点から、永住許可後にその要件を満たさなくなった一部の悪質な者を対象とするものであり、大多数の永住者を対象とするものではありません。
そのため、例えば、うっかり、在留カードを携帯しなかった場合や在留カードの有効期間の更新申請をしなかった場合に、在留資格を取り消すことは想定していません。
④ 犯罪による退去強制
- 1年以上の実刑判決
- 麻薬犯罪
- 殺人・強盗・詐欺・窃盗等の重大犯罪
永住者であっても退去強制の対象になります。
ここで規定する刑罰法令違反は、具体的には、刑法の窃盗、詐欺、恐喝、殺人の罪などや自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の危険運転致死傷など、一定の重大な刑罰法令違反に限られており、いずれも故意犯を対象としています。したがって、交通事故を起こして過失運転致死傷の罪で処罰された場合は、本号の対象とはなりません。
また、道路交通法は、取消事由として規定された刑罰法令には含まれていませんから、道路交通法違反により処罰された場合は、そもそも対象となりませんし、処罰の内容も拘禁刑に処せられたことが要件となっていますから、罰金刑に処せられた場合も、対象とはなりません。
もっとも、永住者であっても、1年を超える実刑に処せられた場合は、罪名等にかかわらず、退去強制事由に該当して退去強制される場合があります。
⑤ 永住取得時の不正
虚偽申請
偽装結婚
虚偽書類
後日発覚した場合、取得時に遡って取消されます。
実際にどれくらい取り消されているのか?
出入国在留管理庁 の統計によると、
2024年の在留資格取消件数:1,184件
うち永住者:わずか4件
永住者約91万人中、0.001%程度です。
つまり、
誠実に生活していれば取消しは極めて稀
というのが実態です。
永住取消し後の影響
- 原則30日以内に出国
- 上陸拒否期間(1~5年)
- 家族への影響
在留資格の取消し又は変更の対象となるのは、在留資格取消事由に該当する者だけであり、当該対象者の家族であることを理由として、在留資格の取消し又は「永住者」以外の在留資格への変更の対象となるわけではありません。
そのため、永住者の子の在留資格が「永住者」、「永住者の配偶者等」である場合、その在留資格に影響はありません。
また、配偶者の在留資格が「永住者」の場合もその在留資格に影響はありませんが、「永住者の配偶者等」の場合は、「定住者」などの在留資格に変更していただくことになります。
一方、悪質事案や重大犯罪の場合は強制送還となる可能性があります。
永住を守るための3つのチェックリスト
税金・年金・健康保険料を期限内に納付
再入国期限・在留カード有効期限を管理
引越し後14日以内
実務上のトラブルは「悪意」より「放置」です。
永住は再取得できるのか?
結論:理論上は可能だが、簡単ではありません。
| 取消理由 | 再取得可能性 |
|---|
| 軽微な義務違反 | 数年後に可能性あり |
| 故意の滞納 | 相当期間の是正実績が必要 |
| 不正取得 | 事実上極めて困難 |
| 退去強制 | 原則極めて困難 |
再申請時には、
- 過去違反の詳細説明
- 是正状況
- 今後の生活設計
- 納税実績
を論理的に立証する必要があります。
今回の改正は、永住許可の申請手続を変更するものではないため、「定住者」などの在留資格に変更された場合であっても、その後、公的義務が適正に履行されていることなどが確認できれば、再度、永住許可を受けることが可能です。
まとめ
永住は強力な在留資格ですが、「無条件」ではありません。
しかし、
✔ 納税
✔ 届出義務
✔ 法令遵守
を守っていれば、取消しリスクは極めて低い制度です。
2024年改正は、「誠実に生活する永住者」を対象にしたものではなく、「悪質な義務不履行」に対応するための制度整備といえます。
永住は取得後も“管理する資格”です。
不安がある場合は早期相談が最善の予防策になります。
在留資格の手続きは、状況によって必要な対応が大きく変わります。
「自分の場合はどうなるのか」と迷ったときは、専門家に確認することが大切です。
入管業務に関するご相談は、ホームページのお問い合わせフォームから受け付けています。
『清水純樹国際行政書士事務所』