在留資格で日本に滞在している外国人には、
一定の変更があった場合、届出事由の発生日から14日以内の届出義務があります。

根拠は、出入国管理及び難民認定法第19条の16です。

特に注意すべきなのは、
「転職・退職」だけでなく、機関の名称変更や所在地変更でも届出が必要になる場合があるという点です。

活動機関と契約機関の違い

在留資格の審査や届出制度を理解するうえで重要になるのが、
「活動機関」と「契約機関」の区別です。

両者は似ているようで、法的な意味も実務上の取扱いも異なります。


1.活動機関とは何か

活動機関とは、
外国人が在留資格に基づく「活動」を実際に行っている日本の公私の機関をいいます。

🔎 具体例

外国人Kさんが、

  • 人材派遣会社A社と雇用契約を締結し
  • IT企業B社に派遣されて勤務している

というケースでは、

  • 実際に仕事(活動)をしている場所は B社
  • したがって B社が「活動機関」 になります。

2.契約機関とは何か

契約機関とは、
外国人が在留資格に基づく活動を行うにあたり、
直接契約を締結している相手方の日本の公私の機関をいいます。

上記の例では、

  • Kさんが契約を結んでいるのは A社
  • したがって A社が「契約機関」 となります。

3.両者の違いを整理

区分意味上記例での該当
活動機関実際に活動している機関B社(派遣先IT企業)
契約機関外国人と直接契約している機関A社(派遣元会社)

つまり、
「どこで働いているか」=活動機関
「誰と契約しているか」=契約機関
という整理になります。

活動機関に関する届出


■ 対象資格

  • 教授
  • 高度専門職1号ハ・2号ハ
  • 経営・管理
  • 法律・会計業務
  • 医療
  • 教育
  • 企業内転勤
  • 技能実習
  • 留学
  • 研修

■ 届出が必要となる主な事由

例:大学の法人統合により名称変更
→ 機関自体は同じでも、正式名称が変わった場合は届出対象

例:大学キャンパス移転、本社移転
→ 主たる活動拠点が変更された場合は届出対象

例:会社の倒産、学校の閉校
→ 在留活動の前提が失われるため、必ず届出

例:退学、契約終了、退職
→ 機関との関係が終了した場合

「留学」は活動機関(大学等)への在籍を前提とする資格です。

そのため、卒業は原則として「活動機関からの離脱」に該当し、
14日以内の届出が必要です。

ただし、届け出ることとされている14日の期間中に在留資格の変更許可を受けた場合には、それ以降、大学からの離脱について届け出る必要はありません。

離脱の届出をすべき期間である14日間を経過しないうちに在留資格変更の許可を得られた場合には、離脱の届出が不要になります。

※高度専門職1号ハ

活動機関から離脱した場合には、離脱の届出が必要です。また、高度専門職1号の在留資格をお持ちの方は、所属機関が法務大臣によって指定されるため、転職して所属機関が変わる場合は在留資格変更許可申請を行う必要があります。
 他方で、主たる活動を行いながら、指定された会社以外に子会社を設立して経営するような場合は、届出不要です。

※高度専門職2号ハ

所属する活動機関に変更(消滅、名称変更、所在地変更、離脱、移籍)があった場合には、届出が必要です。高度専門職2号の在留資格をお持ちの方は、所属機関が2か所以上になる場合がありますので、その際は全ての所属機関について届出を行ってください。

契約機関に関する届出


■ 対象資格

  • 技術・人文知識・国際業務
  • 高度専門職1号イ・ロ、2号(契約型)
  • 研究
  • 介護
  • 興行(契約型活動)
  • 技能
  • 特定技能

■ 届出が必要となる主な事由

例:会社の商号変更
→ 法人格は同じでも名称が変われば届出対象

例:本店移転
→ 雇用契約の相手方の所在地が変更された場合

例:会社の解散・倒産
→ 雇用契約の前提が消滅

例:退職
→ 退職だけでも必ず届出

例:転職して新会社と雇用契約を結んだ
→ 新契約も届出対象

この場合、在留資格変更許可手続の中で機関情報が審査・申告されています。

そのため、

入社時点で改めて所属機関届出を行う必要はありません。

※高度専門職1号イとロについて

法務大臣が指定する日本の公私の機関が契約機関となり、併せて行う活動は在留資格の基礎とされるものではありませんので、その活動を行う機関については届出をする必要がありません

※高度専門職2号イとロについて

在留期間が無制限であり、所属機関が複数に及ぶ可能性があるところ、在留資格に定める活動を行っているか否かを継続して把握しておく必要がありますので、全ての所属機関について届出が必要になります。

「芸術」、「宗教」及び「報道」の在留資格を有している場合

「芸術」、「宗教」及び「報道」の在留資格者は、所属機関に関する届出の制度の対象ではありません。

これは、これらの在留資格の活動内容が少々特殊であることによります。

在留資格本邦において行うことができる活動
芸術収入を伴う音楽、美術、文学その他の芸術上の活動(二の表の興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)
宗教外国の宗教団体により本邦に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動
報道外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動

上記の通り、これらの在留資格については『日本国内の機関に所属している』という条件は付されておらず、つまりは『所属機関に関する届出をしたくてもできない』という状況が想定されます。

よって『所属機関』に関する届出の範囲外となっているのです。

配偶者に関する届出

  • 家族滞在
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等

離婚・死別があった場合、14日以内の届出が必要です。

届出を怠った場合のリスク

20万円以下の罰金規定あり。

法令遵守状況としてチェックされます。

過去の届出漏れはマイナス評価になる可能性があります。

※ 永住権についてはこちら

※ 永住権が取り消される主な5つの理由についてはこちら

長期間無届・虚偽申告はリスクが高まります。

注意点

✔ 会社が自動で届け出てくれるわけではない
✔ 退職のみでも必ず届出
✔ 商号変更でも対象になる
✔ 機関の倒産時も届出必要
✔ 卒業後の変更許可タイミングに注意
✔ 資格変更を伴う入社は原則届出不要

特に「会社名が変わっただけだから不要」と思い込むケースが多いですが、
名称変更も届出対象です。

まとめ

在留資格で日本に滞在している外国人には、
所属機関に一定の変更があった場合、発生日から14日以内に届出を行う法的義務があります。
根拠は、出入国管理及び難民認定法第19条の16です。

この届出制度を正しく理解するためのポイントは、次の3つです。


① 「活動機関」と「契約機関」は別概念

  • 活動機関
    → 実際に在留活動を行っている機関(働いている場所・在籍している学校など)
  • 契約機関
    → 在留活動の前提となる契約を締結している相手方

派遣就労などでは、
「働いている会社」と「契約している会社」が異なるため、
どちらに変更が生じたのかを正確に判断することが重要です。


② 「転職・退職」だけが届出対象ではない

よくある誤解は、

「会社を辞めたときだけ届出が必要」

というものですが、実際には以下も届出対象になります。

  • 機関の名称変更(商号変更・法人統合など)
  • 所在地変更(本店移転など)
  • 機関の消滅(倒産・解散)
  • 契約終了
  • 新たな契約締結(転職)
  • 留学生の卒業(活動機関からの離脱)
  • 配偶者資格における離婚・死別

つまり、

「関係が変わった」「情報が変わった」場合は基本的に届出を検討する

という意識が必要です。


③ 届出を怠るリスクは小さくない

届出義務違反には、

  • 20万円以下の罰金
  • 在留期間更新への悪影響
  • 永住許可審査でのマイナス評価
  • 悪質な場合の在留資格取消リスク

といった影響があります。

とくに永住申請では、
過去の届出漏れが「法令遵守意識」の観点からチェックされる。


最後に

在留資格制度は、「許可を取れば終わり」ではありません。
在留中も継続的に法令を守ることが前提となる制度です。

「会社名が変わっただけだから不要だろう」
「退職したけれど次が決まっているから大丈夫だろう」

こうした思い込みが、将来の更新や永住申請で思わぬ不利益につながることがあります。

迷った場合は、
“届出が必要かどうか”ではなく、“届出を前提に確認する”姿勢が安全です。

14日という期限は短いため、
変更があったらすぐ確認する習慣をつけておきましょう。

在留資格の手続きは、状況によって必要な対応が大きく変わります。
「自分の場合はどうなるのか」と迷ったときは、専門家に確認することが大切です。

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清水純樹国際行政書士事務所