日本の大学や専門学校を卒業する留学生の中には、卒業までに就職が決まらないケースも少なくありません。

「このまま日本にいられるのか?」
「在留期限が来たらどうなるのか?」

こうした不安を抱える方は非常に多いです。

この記事では、卒業後に就職が決まらなかった場合の在留資格と必要な対応について、実務の視点からわかりやすく解説します。

卒業したら「留学」の在留資格はどうなる?

まず最も重要なポイントです。

在留資格「留学」は、

学校に在籍して学ぶことを前提とした資格です。

そのため、

卒業した時点で在留資格の前提は失われます

留学の在留資格をもって在留しており卒業しましたが、在留期間はまだ4か月残っています。その期間内は日本に滞在できますか?

在留期間は、在留資格と一体のものであり、その在留資格に該当する活動を行うことを前提として決定されています。留学の在留資格に係る在留期間が残っているからといって、その期間は無条件に在留できるわけではなく、退去強制事由に該当する行為をしなくても、留学は活動資格ですので、次の場合には在留資格の取消対象となります(入管法第22条の4第1項)。

留学の在留資格に係る活動を行わず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在留している場合。なお、他の活動は就労に限られません。

留学の在留資格に係る活動を継続して3か月以上行わないで在留している場合。

いずれも、正当な理由がある場合は対象となりません。また、取消対象となっても必ず取り消されるとは限りませんが、現に有する在留資格に該当する活動を行うことなく在留することは原則として認められていません。

就職活動を続ける方法|特定活動(就職活動)

卒業後も日本で就職活動を続ける場合は、

在留資格「特定活動(継続就職活動)」へ変更する必要があります。

就職活動を目的とする「留学」から「特定活動」への在留資格変更― 卒業後1年目の就職活動 ―

■ 特定活動(就職活動)の概要
在留期間:6か月(更新により最長1年程度)
就職活動の継続が可能
卒業した学校の推薦状が必要

この在留資格では、「実際に就職活動をしているか」が厳しく見られます

単なる形式的な申請では許可されません。

大学卒業までに就職先が決まりませんでしたので、引き続き就職活動をしています。資格外活動許可による就労を続けることができますか?

資格外活動許可による就労は、主たる活動を行いつつ、それを阻害しない範囲内で行うものです。大学卒業後引き続き就職活動をする場合についても、主たる活動を行わないと、資格外活動許可による就労もできません。主たる活動を終える場合には、新たな活動に応じた在留資格に変更した上で、その在留資格において行うことができない就労をするためには、改めて資格外活動許可を受ける必要があります。

資格外活動許可とは?週28時間ルールを行政書士が実務目線で徹底解説

大学卒業後も留学の在留資格に係る在留期間はまだ残っているかもしれませんが、資格外活動許可において「留学の在留資格をもって在留する者については教育機関に在籍している間に行うものに限る」と明記されていますので、大学を卒業すれば資格外活動許可による就労はできなくなります。したがって、大学卒業後も就職活動を続けるとともに、資格外活動許可による就労をしようとする場合には、在留資格を特定活動(継続就職活動)に変更し、資格外活動許可を受けなければなりません。この在留資格の場合、資格外活動許可は、1週について28時間以内の包括許可を受けることができます。

資格外活動許可による就労は、主たる活動の遂行がなければできません。特定活動(継続就職活動)の在留資格における主たる活動は就職活動ですので、これを継続している間においては、資格外活動許可による就労をすることができますが、就職先の内定後も就職活動を続けるのではなく、内定を機に就職活動を止めてしまう場合は、主たる活動を行わなくなりますので、資格外活動許可による就労もできなくなります。その場合には、在留資格を、特定活動(継続就職活動)から特定活動(就職内定者が入社するまでの活動)に変更し、資格外活動許可を受けることによって、資格外活動許可による就労を続けることができます。この在留資格の場合も、資格外活動許可は、1週について28時間以内の包括許可を受けることができます。

学校が推薦状を出さない場合

実務で非常に多いポイントです。

推薦状がない場合、許可は厳しくなります

  • 出席率不良
  • 成績不良
  • 素行不良
  • 就職の見込みが低いと判断された場合
  • 学校と相談・交渉
  • 他の進路(進学・帰国)を検討

👉 卒業前からの準備が重要です

所属機関離脱の届出

卒業後に必ず行うべき手続きがあります。

所属機関に関する届出(離脱の届出)です。

活動機関・契約機関・配偶者に関する届出の違いとは?― 変更内容ごとの届出義務とリスクを整理 ―

在留資格「留学」の外国人は、

学校を離れた場合、14日以内に入管へ届出が必要です

  • 卒業した場合
  • 退学・中退した場合
  • 転校した場合
  • 在留資格審査で不利
  • 在留資格変更が不許可になる可能性
  • 在留資格取消のリスク

軽視されがちですが非常に重要です

よくあるNGパターン

実務上よくある失敗です。

■ ① 何もせず放置

👉 在留期限ギリギリになる

■ ② 就活していないのに申請

👉 実態がないと不許可

■ ③ アルバイト中心の生活

👉 就労目的と判断される

👉 これらはすべて不許可リスクが高いです

選択肢

状況によっては、次の進路も検討します。

■ 就職が決まった場合

👉 就労系の在留資格へ変更

■ 進学する場合

👉 再度「留学」へ更新

■ 帰国する場合

👉 不法滞在にならないよう注意

まとめ

大学卒業後に就職が決まらない場合でも、適切な手続きを踏めば日本に在留しながら就職活動を続けることは可能です。

ただし、在留資格「留学」は卒業と同時に前提を失うため、そのまま放置することは非常にリスクが高く、在留資格の取消しや不許可につながる可能性があります。

そのため、
・「特定活動(継続就職活動)」への変更
・資格外活動許可の再取得
・所属機関離脱の届出(14日以内)

といった対応を、タイミングを逃さず確実に行うことが重要です。

また、就職活動の実態がない場合や、アルバイト中心の生活になっている場合は、不許可のリスクが高まります。単なる形式ではなく、「本当に就職を目指しているか」が厳しく見られる点にも注意が必要です。

さらに、状況によっては、進学や帰国といった選択も含めて現実的に判断することが求められます。

卒業後の進路は、その後の在留やキャリアに大きく影響します。
「知らなかった」では済まされない分野だからこそ、早めの準備と正しい知識が何より重要です。

不安がある場合は、専門家に相談しながら、最適な選択をしていきましょう。

■ ご相談について

卒業後の在留資格は、個々の状況によって最適な対応が異なります。
「推薦が出ない」「就活がうまくいかない」など、不安がある場合は早めに専門家へご相談ください。

在留資格の手続きは、状況によって必要な対応が大きく変わります。
「自分の場合はどうなるのか」と迷ったときは、専門家に確認することが大切です。

入管業務に関するご相談は、ホームページのお問い合わせフォームから受け付けています

清水純樹国際行政書士事務所